岩 崎 元 郎 の


 

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兜山と積翠寺温泉

 中央本線の電車が笹子トンネルを抜けると、目の前がパーッと広がって世界が明るくなる。塩山から石和温泉へと快走する電車の車窓右手には、奥秩父の主脈から派生してきた支尾根の末端あたりに中央線沿線の山として紹介されるいくつもの山が頭をもたげている。その中の一つ、こんもり盛り上がった山がここで取り上げる兜山。兜みたいでしょ、と言われれば兜に見える。

 標高913m、分県登山ガイド『山梨県の山』の「兜山」の項は、「甲府盆地が桃をはじめとした果樹の花々に埋まる時期にこそ、花見ついでに登りたい小粋な山である」という書き出しで始まっている。「小粋な山」という紹介が、気に入っている。

 石和温泉の一つ手前、春日居町駅下車。特急は止まらない。国道に出て、岩下温泉の前を通り、夕狩沢古戦場跡から花火工場への道を辿る。その先に登山口がある。頂上直下は急登だが、ひと頑張りがんばろう。三角点のある山頂は落ち着いた雰囲気で、のんびり休憩したい。その先に最高点がある。三角点が必ずしもその山の最高点でないことは、知識として持ってはいても、忘れがちな事柄なので、三角点の先に、本来的にはそこが山頂であるはずの最高点があると、戸惑う。その高みから下れば、小さな峠に立つ。そこからひと下りすると車道に出る。ガイドブックはここから春日居町駅に戻るように案内されているが、ぼくのお気に入りは、岩堂峠を越えて深草観音に参拝、さらに下って積翠寺に出るというコースだ。

 岩堂峠に向かうと登山者が少なくなって、山が深まるような気がする。峠に立ち、ひと下りすれば深草観音だ。深山の気が周囲に満ちている。こんなところに、こんなもんがあることに感動させられる、不思議な場所。まぎれもなく、パワースポットの一つであること間違いない。道なりに下っていけばやがて車道となり、積翠寺バス停に導かれる。バスは甲府駅北口に出る。

 春日居町駅(50分)〜夕狩沢古戦場跡(30分)〜登山口(1時間40分)〜兜山頂上(1時間)〜車道(30分)〜岩堂峠(50分)〜積翠寺バス停

 時間に余裕のある人は、積翠寺温泉で汗を流してから家路につこう。積翠寺温泉は、要害と古湯坊の二軒がある。少し離れているのでそれぞれが一軒宿みたいだ。どちらも古くから湯治宿として親しまれていた。詳細はインターネットでお調べ下さい。

 本コース、健脚なら問題なく日帰りできるが、ゆっくり歩きが得意な方には、忙しないので積翠寺温泉で一泊するように計画すると安心だ。温泉入浴で元気も回復したはずだから、翌日ももう一山登ることにしよう。お勧めは、興因寺山854・5m。

 積翠寺バス停から、古湯坊方面に車道を辿ると、古湯坊の手前に左へ、穴口峠に上がる道が分岐している。峠からひと登りで興因寺山、この先、淡雪山へと続く尾根歩きが楽しい。足下には甲府盆地が広がり、その向こうに御坂山地を前衛にして富士山が聳え、南アルプスの連なりも素晴らしい。ルンルン歩いて入れば、あっという間に淡雪山に到着。千代田湖に出たらタクシーを呼んで甲府に出るか、健脚の向きは白山を越え、甲府駅まで歩いたらいい。

 
                                          2012.2.15 記 

 




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