岩 崎 元 郎 の


 

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トムラウシ山とトムラウシ温泉

 日本百名山の百座登頂を目論む者にとって、北海道の山ははるかに遠くて、登山計画を立てるということは、一大事業を興すことに他ならない。ちょっとオーバーな表現だったかな? 北海道には日本百名山が九座ある。利尻岳、羅臼岳、斜里岳、阿寒岳、大雪山(旭岳)、トムラウシ山、十勝岳、幌尻岳、後方羊蹄山の九座。トムラウシ山と幌尻岳の二座は、登り難い山として登山者にはマークされている。

 幌尻岳はアプローチの額平川の徒渉が手強いし、トムラウシ山は大雪連峰のど真ん中にあって、山頂を踏むには長時間行動を要求される。登山口となるトムラウシ温泉からの往復登山が最短だが、それでも標準タイムで登り8時間、下り5時間30分、計13時間30分だ。短縮コースを利用することで、2時間45分が短縮されるが、それでも往復10時間45分。休憩時間などを考えれば、12時間は見積もっておく必要はあろう。もちろんそれだけの投資に見合う充実感はある。

 トムラウシの往復登山というのは、一日目、トムラウシ温泉に入山、二日目往復登山、下山してもう一泊せざるを得ない。三日間が必要となる。だったら、旭岳から縦走した方が合理的だな、という考え方も浮上してくる。一日目、旭岳温泉に入山。二日目、旭岳を越えて白雲避難小屋まで、三日目、雄大な大雪連峰を縦走して忠別岳を越え、ヒサゴ沼避難小屋泊。四日目にトムラウシ山に立ったら、トムラウシ温泉に下って汗を流し、五日目、家路につく。五日間という日程で、日本百名山が二座稼げる。

 無名山塾の中に中高年バージョンの遠足倶楽部を誕生させた、1983年のことである。ぼく自身は日本百名山に興味は無かったのだが、会員さんが百名山を追いかけっている様子を眺めていると、危なっかしくて見ていられない。だったらぼくの登山教室で計画しようと、日本百壱名山登山教室というプログラムを立ち上げた。で、大雪山・旭岳〜トムラウシ山も計画した。中高年登山者垂涎のコースであるから、申し込みは20人を越えていた。スタッフを含めて25人の大パーティーが姿見ノ池から旭岳を越え、トムラウシ山を目指した。避難小屋がチョー満員であることを見越して、テントを用意した。60歳を過ぎている女性会員にも荷物を分担して貰った。山はディズニーランドではないのである。

 ヒサゴ沼から稜線に上がると、体が浮くような強風であった。反対側から来る人がすれ違いざまに、「飛ばされそうな強風だから、あきらめて引き返したほうがいい」と忠告してくれる。

 しかし、ぼくにはパーティーをリードする自信があった。旅行会社の募集ツアーのように寄せ集めのパーティーではない。メンバーは気心も知れている。強風をはねのけ、一丸となってトムラウシ山を越え、トムラウシ温泉・東大雪荘に下った。ザッブーンと飛び込む広い湯舟は、疲れた心と汗だくの体を優しく癒してくれた。トムラウシ温泉は、日本でも十指に入る山の温泉だと思う。

 泉質は弱アルカリ性低張性高温泉、源泉温度は91.2度だそうである。温泉地としての歴史は新しく、1965年から開発が始められたとか・・・。


                                                         2013.1.18 記




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