岩 崎 元 郎 の


 

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恐山・大尽山と恐山温泉&湯坂温泉

 
2005年、自分の還暦を記念して「ぼくの新日本百名山」を考えた。「父は山の側から百山選びましたけど、岩崎さんは登る側から選ばれましたね、マーケティングですね」と、深田久弥さんのご長男、森太郎さんがご指摘下さった通り「新日本百名山」は、ぼくのベスト百山のアピールではなく、山登りのきっかけ作りを目指したものである。47都道府県から一山選ぶ、山が好きというからには登っておくべき山ということで選んでみたら、百山中52山が深田百名山と重なっていた。

 青森県からは、岩木山と八甲田山を選んだ。日本を代表する名山であり、深田百名山である。青森県ならではの山がもう一山欲しいなと思って、当時八甲田山荘のオーナーであった芦沢吉朗氏に相談すると、下北半島の大尽山を推薦、下見に連れて行って下さった。2004年10月のことだ。霊媒、イタコの存在でも知られる恐山菩提寺は宇曽利山湖のほとりに建つ。貞観4(862)年、慈覚大師円仁の開基による天下の霊場である。

 蓮華八葉とも呼ばれる宇曽利山湖の外輪山の総称が恐山、湖の南南西に聳え、湖面に秀麗な三角錘を写しているのが大尽山、828m。

 恐山菩提寺の手前、湖畔に建つ民宿シャクナゲ荘の前から遊歩道を辿ると、50分ほどで林道に出る。この林道を30分ほど歩けば、大尽山へと導いてくれる山道の入り口。この道は陸奥湾側から来る、恐山西参道だ。下の方はヒバ林、上の方はブナ林の中の山道を登ること1時間30分、大尽山々頂へと向かう登山道が分岐している。分岐のすぐ先に一体地蔵がある。

 分岐までは参道だから急登もない歩き易い道だったが、山頂に向かう道に入ると笹藪がうるさくて踏み跡がはっきりしないところもあり、急登を強いられるところもあった。それでも40分の頑張りで待望の山頂だ。灌木で視界が遮られているが、そこに鎮座している大石の上に立つと、目の下に宇曽利山湖がコバルトブルーに輝いている。恐山菩提寺もそれと指摘できる。山頂からの眺望は神秘的ですらある。秀麗な山容、神秘的な眺望、恐山菩提寺の存在、大尽山は「ぼくの新日本百名山」にふさわしい名山であることを確信した。

 下山は往路をシャクナゲ荘に下る。すぐ先に恐山菩提寺があるから参拝してこよう。境内には恐山温泉が湧く。恐山温泉は、含鉄・硫黄-ナトリウム-塩化物泉で、境内に四つの湯小屋があり、いずれも無料で入浴できるとインターネットには紹介されていた。もちろん参拝料は必要だ。

 シャクナゲ荘にも温泉はあって、こちらは湯坂温泉という。単純硫黄泉で、硫化水素をたくさん含む酸性の白濁した温泉だ。浴室は男女別に一つずつ、コンクリートを打ちっぱなしの素朴な浴室・浴槽である。ぼくは大尽山に3回登り、シャクナゲ荘に2回泊まった。ご主人は現役の頃、営林署の職員だった方で山に詳しい。素朴な浴室・浴槽は、木訥としたご主人にお似合いだなと思った。

 シャクナゲ荘に泊まった翌日は大間崎に向かい、津軽海峡を渡って恵山を目指したのであった


                                                         2013.3.15 記




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