岩 崎 元 郎 の


 

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安達太良山と岳温泉・野地温泉

 ぼくは東京生まれの東京育ちで、現在は豊島区南大塚に住んでいる。地方の人から東京には本当の空がないと言われると、ちょっと悲しい気分にさせられる。そんなことないよ、と反発したくなったりする。今朝、2013年4月9日、ビルの間に広がる空は、まぎれもなく本当の真っ青に澄んだ空だ。どうだ、東京にだって本当の空はあるんだと、いばってやりたいくらいの青い空だ。でもちょっと気になる。智恵子の言う、本当の青い空とはどんな空なのか。本当の青い空を確かめたくて、初めて安達太良山に登ったのは、もう三十年以上も昔のはなしだ。

 JR東北本線二本松駅よりバス、岳温泉を経由して奥岳まで入る。まだゴンドラリフトが架かる前で、勢至平からくろがね小屋に上がって一泊。この小屋の温泉は五つ星だ。さして広い浴室ではないが、湯舟に浸かって窓を開けると、木々の緑が浴室に飛び込んでくる。向こうの山の斜面に見えているのが源泉の湧出口、岳温泉へはここから湯を引いているのだ。湯上がりのビールが旨い。夕食はくろがね小屋名物のおいしいカレーライス。

 翌朝、現在は火山性有毒ガス発生のため通行禁止になっている馬の背へのコースを登り、尾根上を南下して安達太良山山頂に立った。初めての登山で、安達太良山が大好きになった。下山は五葉松平からゲレンデの中を下って、奥岳に戻った。それ以来、何回この山に登ったことだろう。無名山塾のゴールデンエージには、毎冬くろがね小屋に泊まり、雪山登山教室と山スキー教室を展開した。両方で40人近い参加者で、大塚駅前から大型バスを出したものだ。

 1995年、NHK教育テレビ番組「中高年のための登山学」では、みなみらんぼうさんと一緒に前述のコースを辿った。馬の背に出たときは凄まじい強風で、ぼくが飛ばされそうになる場面が放送されて、観ていた人は大笑いしたと聞かされた。安達太良山は独立峰だから、風当たりが強いのだ。冬はなおさらで、ある年は夜半から風が強くなって、朝、くろがね小屋から一歩でたとたんに飛ばされそうになって、「今回の登山はここで中止、ただちに下山を開始」と宣言して往路を奥岳に下ったこともある。

 このときは奥岳の駐車場も強風な上、アイススケート場のように凍っていて、バスに乗るためにアイゼンを脱いだら、立ったまますうっと体が滑らされたことをいまでも忘れられない。もちろん正反対のこともあった。真冬なのに無風快晴、コース上から見上げる安達太良山は真っ白で女性の乳房のように見える。乳首山という別名通り、頂上部分がツンと突き出していて乳首そのまま、実に色っぽい山容であった。

 下れば岳温泉、前述したようにくろがね小屋近くの源泉から引湯している。単純酸性泉で、胃腸病や神経痛に効果があると紹介されている。

 安達太良山から鉄山、箕輪山から鬼面山、旧土湯峠へと足を伸ばし、野地温泉へと下る縦走コースは、縦走の醍醐味を味あわせてくれるお勧めのコースである。下って野地温泉で汗を流せるのがいい。温泉は単純硫黄泉、慢性皮膚炎、糖尿病、高血圧症、動脈硬化病に効果があると説明されていた。


                                                        2013.4.15 記




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