岩 崎 元 郎 の


 

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御在所岳と湯の山温泉

 御在所岳は鈴鹿山脈の主峰。標高1209.8m、一等三角点の山である。東麓に名湯・湯の山温泉を擁し、温泉街から肩に位置する山上公園までロープウェイが架かっている。山上公園から山頂の手前までリフトが伸びていて、上の駅でリフトを降りれば山頂まで3分である。数ある日本の名峰の中で、3分で山頂に立てる山は御在所岳を措いてほかにない。とはいうものの、せっかくの御在所岳、2本の足で登りたい。代表的なコースは中道から登り、国見尾根から裏道を下るか、その逆コースだが、はるばる東京から出かけていったぼくとしてはもうちょい欲張りたく、湯の山温泉から鎌ヶ岳に登り、御在所岳へと歩いてみた。

 湯の山温泉へは、近鉄湯の山温泉駅からバスで10分。温泉街を抜け、三岳寺境内に入り、遊歩道を上っていくと自ずから馬の背尾根の登山道に導かれる。山名や山容からはハードな登山道を想像するが、実際は心配するほどのことはない。天気もいいし、爽やかな山歩きである。登山インストラクターという立場で、数多くの登山教室を引き受けているので、雨に降られることもある。そんなこんなで、「雨が降っても楽しい」を持論としているが、雨空より青空の方がいいに決まっている。

 湯ノ峰を越えると尾根は傾斜を増し、白ハゲと呼ばれる岩峰帯に入る。その先、深いササのトラバースを抜けると岳峠。目の前に鎌の刃がそそり立つ。一瞬ドキリとするが、右から巻き気味に登れば、容易に鎌ヶ岳山頂に立つ。山頂は南北に細長く、狭い。休日とあってそこそこ満席、ゆっくり休んでいられないので、素通りして御在所岳に向かう。鎌から御在所岳を縦走する登山者は少ないのか、人影が薄くなる。武平峠に下って小休止、登り返せば御在所岳だ。登るに従って雑音が耳に入るようになる。ロープウェイもリフトも上がって来ている観光地、なかなかの人出だ。

 下りは中道に入る。登山道に入れば人出は減るだろうと思っていたら、登ってくる人、下る人で途切れがない。このコースは、岩場が多いしキレットなどもある、ややリスキーなコースであるにも関わらず、幼子を連れたパーティが多いのに驚かされた。ぼくだったら、絶対にロープで結ぶと思われる所を、子供一人だけで歩かさせている親の気が知れない。前後左右、他のパーティの行動ばかりが気になっていたので、車道に降りたってホッと一息。車道を下り温泉街を抜ければ、バス停に戻る。鎌ヶ岳まで登り3時間30分、鎌から御在所岳まで1時間55分、下り2時間25分の計7時間50分、歩き甲斐のあるコースである。

 登山基地となる湯の山温泉は、名古屋の奥座敷ともいわれる保養地。養老2(718)年、傷ついた鹿が癒していたことから発見されたという古湯である。御在所岳東麓に旅館・ホテルが20軒ほどひしめき合っているが、自然豊かな山間にあるのでうるさくなく、自然が活かされていて歓楽街化していない、山好きにはうれしい温泉場である。泉質はアルカリ性ラジウム泉で、「美人の湯」として知られている。山とは反対側、伊勢神宮参拝の基地としても利用できる。「伊勢神宮参拝と湯の山温泉」、という看板をフロントガラスに掲げた大型バスが、駐車場に停まっていた。

                                                         2013.12.15 記





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