岩 崎 元 郎 の


 

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谷川岳と谷川温泉

 谷川岳は群馬県と新潟県の県境、三国峠から平標山、仙ノ倉山、万太郎山、谷川岳、蓬峠、朝日岳、白ヶ門山と連なる谷川連峰の主峰であり、利根川の支流、谷川の源頭に聳える双耳峰である。南麓に谷川温泉が湧いている。谷川温泉から見上げて手前の峰が「トマの耳」、北隣に位置するもう一方の峰が「オキの耳」だ。手前がトマとなまり、オキは沖、つまり奥に位置することを示す。双つの峰が、耳が双つあるように見えることから双耳峰という言葉が生まれ、登山用語として耳が峰を意味するようになったと思われる。鹿島槍ヶ岳、筑波山などが双耳峰の山として知られている。『山の用語 なんでも事典』(山と渓谷社)、『山名・用語事典』(同前)、『山名辞典』(東京新聞)をチェックしてみたが、山名・用語事典にのみ「耳二つ→谷川岳」とあっただけで、耳についての説明はなかった。愛称にせよ、峰を耳と呼ぶ例は少ない。谷川岳のみの特例かなと思っていたら、霧ヶ峰の盟主である車山の北側に、「北の耳」「南の耳」と山名を付された双耳峰を見つけた。

 閑話休題、谷川岳。三角点はトマの耳にあって1963.2m、標高はオキの耳の方が高く、1977m。山頂への一般登路は、西黒尾根、天神尾根、中ゴー尾根とある。加えて、蓬峠から南下、あるいは平標山から東進してくる連峰主脈上の登山道が、谷川岳へと誘ってくれる。登り甲斐があるのは西黒尾根だが、ハードである。積雪が多いと尾根上でも雪崩が発生するくらいに急峻な尾根だ。西黒尾根を末端から登るのではなく、マチガ沢から回り込んで登る巌剛新道の方が変化もあってお勧めできる。

 ラクチンなのは、ロープウェイを利用して天神平まで上がり、天神尾根を往復するもの。だれにでも無理なくお勧めできるコースだ。谷川温泉から谷川沿いに歩き、二俣から天神尾根上、熊穴沢避難小屋に上がるいわお新道コースがあるが、登山者は少ない。前述の二俣からヒツゴー沢とオジカ沢を分水する中ゴー尾根は、ぼくらが現役時代、南面の沢を登りつめた後の下山コースとして利用価値の高いものだったが、南面のバリエーションルートに入る登山者が激減した現在、山と高原地図「谷川岳」を開くと、中ゴー尾根のところに「急登連続」「ヤブ注意」という言葉が付されているくらいに、登り降りする登山者は激減しているようだ。二十半ば頃、4月中旬、残雪の中ゴー尾根を一人で登ったことが、なつかしい思い出として残っている。

 ヒツゴー沢、オジカ沢、鷹ノ巣沢、登って下ると谷川温泉で汗を流して帰った。建物に入らず外から直行すれば、露天風呂のみの入浴は50円だった。共同通信の寮があって、共同通信のカメラマンだった先輩が一緒だったときは、寮の温泉に入れて貰えた。その頃、水上温泉が人気の大温泉街であったのに対し、谷川温泉は宿が数軒しかないひなびて静かな温泉地であった。それが現在では、水上をはるかに凌ぐ人気の温泉地になっている、とか。泉質はアルカリ性単純温泉で、胃腸病に効能があるらしい。インターネットで「谷川温泉」と入れたら、「胃腸病にお悩みなら『谷川温泉』に行こう!」というキャッチフレーズが出てきた。他に、眼病、婦人病、神経痛、創傷などにも効能ありと紹介されていた。

                                                         2014.1.15 記





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