岩 崎 元 郎 の


 

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西上州・荒船山と初谷温泉
 
 荒船山は航空母艦のような山容で、遠望してもすぐそれと指摘できる。

 初心者を連れての山登り、どこかの頂きに立ったとき、ぐるり取り巻く山々の真ん中にあって、周囲の一山一山を指さしながら、あの山はナントカ岳、その山はカントカ山と名指しすると、同行者たちから尊敬のまなざしを集めること間違い無し。その連なりに荒船山があるとシメタと思う。荒船山は自信をもって名指しできる、有り難い山なのである。

 群馬県は上州、長野県は信州、新潟県は越後、旧国名は音の響きが渋くていいな、と思う。荒船山は群馬県の西に位置しているので、西上州の山と分類される。「にしじょうしゅう」という音の響きが気に入って、十年前くらいまでは、西上州の山を企画することが多かった。話しが過去形になっているのは、藪と岩とで手強い山が多く、ぼく自身の体力低下と会員諸賢の加齢とで、高嶺の花と化しつつあり、とんと計画しなくなっているからだ。手強い西上州の山の中で、荒船山は例外。この山域を代表する山であり、取り付き易い山として「ぼくの新日本百名山」に選定した。

 船尾に当たる艫岩へは内山峠からと、相沢から登路がある。船首に位置する経塚山へは直下の星尾峠から登れる。星尾峠へは西側の荒船不動からと、南側の線ヶ滝から登路がある。いずれのコースも一般向きで、危険箇所はない。艫岩から経塚山までは約1.5㎞ほどの道で、歩いて30分ほどの距離がある。大岩壁の上にいることは想像もつかない、雰囲気のいい散歩道である。ここでは相沢から登り、線ヶ滝へと下るコースを紹介しよう。

 上信電鉄下仁田駅から三ツ瀬まではバスの便があるが、タクシーを利用すれば相沢まで入れる。歩けば45分ほどの距離だ。登山道に歩を進める。山ノ神の先で急登になる。尾根上に出た所にベンチがあり、一息入れられる。急登をもうひと頑張りで頂稜上のT字路に出る。登山口から1時間40分。右に進めばすぐあずま屋があり、その先がすっぱり切れ落ちている艫岩。

 引き返して南へ進めば、30分で山頂と星尾峠の分岐。木立の中の急登10分で、荒船山の最高点、経塚山に立つ。分岐まで戻り、ひと下り15分で、可愛いという表現がぴったりの星尾峠。1時間50分の下りで林道に出る。線ヶ滝はすぐ先だ。羽根沢バス停までは車道歩き1時間。途中から振り返れば、立岩が素晴らしい迫力で迫ってくる。

 星尾峠から西側へ荒船不動に下り、初谷温泉に足を伸ばすという選択肢もある。

 初谷温泉は明治18年開湯、源泉は宝明水と呼ばれる炭酸水素塩冷鉱泉。天然サイダーとも呼ばれるくらいに、炭酸分をたくさん含んでいる。冷泉なので蒸気で直接加熱している。炭酸成分を活かすため、ぬるめに設定しているとのこと。源泉は透明だが、湯舟は鉄分のため茶褐色を呈している。浴用効能は、慢性消化器病、神経痛、疲労回復など、飲用効能は慢性消化器病、糖尿病など。

 初谷温泉には20年以上前に泊まったことがある。その時は、立岩から経塚山に登り、下って初谷温泉に足を伸ばしたのだった。静かな一軒宿で、またいつか泊まってみたいと思っている。


                                                          2014.3.15 記




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