岩 崎 元 郎 の


 
   
 山と温泉トップページへ戻る   次のページへ 

西吾妻山と白布温泉
 
 
吾妻山は、深田久弥さんの日本百名山の一座である。一座という紹介は正鵠を得ていないかな。吾妻山は山名ではなく山群の名称であるからだ。最高峰は西吾妻山で2,035m、この頂きに立つことで、日本百名山の吾妻山に登ったということになるらしい。富士山とか槍ヶ岳というように単一の山の場合は問題ないのだが、例えば、大雪山、八甲田山、赤城山、丹沢山、八ヶ岳、大峰山、霧島山など、百名山として挙げられているのが、山群の名称であるとかエリアの総称であるとき、個別の山としてはどの山に登ったら百名山の「その山」に登ったことになるのか、たいていの場合、最高峰に立って善しとしているようだが、なかなか割り切れないでいる。

 吾妻山は土湯峠から東吾妻山、一切経山、家形山、東大巓、中大巓、西吾妻山、西大巓、白布峠へと連なる山群である。「一口に吾妻山と呼んでも、これほど茫漠としてつかみどころのない山もあるまい。福島と山形にまたがる大きな山群で、人はよく吾妻山行ってきたというが、それは大ていこの山群の一部に過ぎない」、深田さんは『日本百名山』で吾妻山の項をそんな風に書き出している。似たような山が数多いので、最高峰の西吾妻山に立ち、「吾妻山」に登ったということにする。

 西吾妻山西斜面の天元台高原スキー場から山頂をめざすのが、最も容易な登路といえる。米沢駅前からバスで白布湯元まで入り、ロープウェイで天元台高原に上がる。ここからスキー場に架かるリフトを三本乗り継げば、座したまま標高1,800mの北望台に立つ。山頂までは高度差にして235mだから、登り易い日本百名山として多くの登山者を迎えている。

 北望台からひと登りすると樹林帯を抜け、かもしか展望台に立つ。その先歩き易い木道を辿る。ひと下りした所は雪が消えるときれいなお花畑になっている。ごろごろと岩が積み重なって登りにくい所を登りきれば梵天岩、ここも展望が素晴らしい。少し下り、樹林帯に入ってひと登りすれば吾妻山の最高点、西吾妻山の山頂に立つ。山名版が立つだけで展望なし、山頂に立った感激も涌いてこない。下りは往路を戻る。

 東京から日帰りは厳しいし、もったいないので一泊したい。登ってから泊まるか、泊まって翌日登るかはプランナーの知恵の出しどころだ、白布温泉に泊まってもいいし、アルブ天元台に泊まってもいい。

 白布温泉は天下の名湯だ。東家、中家、西家が白布温泉を代表する宿泊施設だ。インターネットを見ると、佐藤宗純という鎌倉御家人が仏門に入って諸国行脚、西吾妻山中に入ってこの温泉を発見した。無色透明、無味無臭の硫酸温泉であると説明されていた。1312年6月12日と、発見年月日がはっきりしているのが凄いと思う。毎年6月12日には温泉祭りがあり、百年に一度大祭があるという。

 1601年、上杉が米沢に移封された。いつだったか東家さんを訪ねたとき居間に案内された。天井板が張られてなく、梁がむきだしになっている。上杉の殿様が温泉浴にきたとき、この居間で休憩される。曲者が天井に隠れることができないよう天井板が張られていないのだと聞かされて、納得。由緒ある温泉なのだ。

                                                           2014.8.20 記




 Copyrighit(C)2008-2015 Motoo-Iwasaki
許可無く、他ヘの転載、掲載を固くお断りします