岩 崎 元 郎 の


 
   
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中辺路と川湯温泉
 
 熊野三山、本宮大社、那智大社、速玉大社へ詣でる道、熊野古道が人気である。京都から淀川を下り、天満橋付近で船を降り、海岸線に沿って南下、熊野を目指したのである。これが紀伊路、紀伊路は紀伊田辺で向きを東に変え、山の中に入っていく。ここからが中辺路だ。京都を出発した皇族・公家方は、中辺路を辿って本宮大社に詣で、熊野川を下って速玉大社に詣で、新宮から勝浦を回って那智大社に詣でた。三山を詣でた後は、大雲取・小雲取を越えて本宮に戻り、往路を京都へと引き返した。片道三百数十キロ、二十日間から一ヶ月をかけて往復した。

 熊野古道には、高野山から本宮大社を目指す小辺路、伊勢から速玉大社を目指す伊勢路、吉野から熊野を目指す山岳修験の大峰奥駆け道、田辺から海岸線沿いに那智大社を目指す大辺路などがあるが、代表的なコースは中辺路といっていい。中辺路は紀伊田辺を起点に、滝尻王子を経て本宮大社に向かうのだが、滝尻王子まではバス道路なので、「昭和五十三年より文化庁によって『歴史の道』として復元と整備がされたのは、滝尻王子から本宮大社を経て、那智山までの約八〇キロメートルである」とガイドブックにある。「中辺路を歩く」というのは、滝尻王子から歩いて本宮大社に詣で、熊野川を下って速玉大社に詣で、那智大社に詣で、大雲取・小雲取を越えて本宮に戻るというコース採りがお勧め。

 何回か歩いているが、初めてのときは紀勢本線南部駅で下車、起点である大辺路との分岐から中辺路を歩いてみた。滝尻王子まで二日間、本宮大社まで二日間、計四日間歩いたのだが、前半二日はバス道路でトレッキングシューズをはいた足には靴ズレができた。滝尻王子からの道は、本格的な登山と紹介されているが、本格的な登山をやっている身には、軽いハイキングといったレベルだ。「本格的な登山」という言葉にだまされて滝尻王子から歩くことをせず、牛馬童子の道の駅から近露までをちょろっと歩いたり、バスで発心門王子まで行き本宮大社まで歩いて善しとしてしまうのは、はるか熊野まで行っていながらもったいない話しだと思う。滝尻王子から本宮大社までは絶対に歩くべきだ。

 このとき、川湯温泉富士やホテルを予約していた。本宮大社に詣で、大斎原の聖地に立ってから、お迎えのバスでホテルに入った。チェックインの手続きをしていると、隣の方から「岩崎さんですよね」と声をかけられた。夕食時、宴会場に降りていくとビールが一ダース届いていて、仲居さんがその方からだと言う。その方、沖崎さんに席に加わって頂き、四日間かけての中辺路完歩の打ち上げは大いに盛り上がった。沖崎さんは、南奥駆け道を復興させた新宮やまびこ会の中心メンバーのお一人、そのご縁で四分割ではあったが、奥駆けも熊野から吉野までトレースすることもできた。

 川湯温泉は熊野川の支流、大塔川の河原に湧く温泉、河原を掘れば温泉が湧き出るという文字通りの川湯温泉。渇水期には河原を広く掘って作る、千人風呂が有名。アルカリ性単純泉で、筋肉疲労を癒すにはうってつけである。中辺路を歩き、本宮大社に詣でた後は川湯温泉でのんびりすることをお勧めしたい。


                                                          2015.4.15 記

 




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