岩 崎 元 郎 の


 
   
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尾瀬と老神温泉
 
 夏が来たから思い出したわけではないが、久しぶりの尾瀬に行く。遠足倶楽部関西支部長とぼくが勝手にきめた大阪の板谷さんと吉田さんのリクエストで、至仏山にご一緒することになった。7月28日、大阪のお二人とコトあるごとにサポーターを買って出てくれる白石さんの三人と上毛高原駅で待ち合わせ、バスで尾瀬にむかった。

 バスはガラガラで、ウィークデーだと尾瀬といえこんなもんかと思いながら戸倉で鳩待峠に上がる乗り合いタクシーに乗り換える。峠で降りると結構な人出だ。マイカーや団体バスで来る人の方が、公共交通を利用する人より断然多い。登山者はもちろんいるが、観光客が多い。夏休みとあって親子連れも多い。

 準備を整え、山の鼻へと下っていくと、鳩待峠へと人が登っていく。身軽な格好から推測するに登山者ではなく、日帰りで山の鼻周辺の散策を楽しんできた観光客であろう。旅行会社のツアーはふた昔前までは「グルメと温泉」で集客できたそうだが、昨今、それだけでは集客できない。今、集客のポイントは「自然」に移っている。泊まった山の鼻の山小屋は、宿泊客で混雑というほどのことはなかった。

 翌朝、朝食は6時で出発は7時になった。昨今、山小屋の食事は民宿並である。ふた昔前は夕食はカレー、朝食は生タマゴに味噌汁と相場が決まっていた。これなら登山客が夕方5時、6時に飛び込んできても夕食を供せるが、民宿並の食事だから予約しておいてくれなければ出せないとか、4時過ぎたら夕食の準備ができないから4時までに受付をすませてくれ、ということになる。朝食も生タマゴに味噌汁なら、4時でも5時でも出せないことないだろうが、オムレツに焼き魚なんて献立になると、朝食は6時になってしまう。山小屋は、ニーズに合わせているのだと釈明するが、そうであるとすれば、山小屋を利用する登山者が観光客に変質していることの証左であろう。

 山の鼻から至仏山に登り始めると、思いの外登山者がいて、ゆっくり歩きの我々を次々に追い越していった。蛇紋岩の至仏山はコースが滑り易い。特にこのコースは下りに滑り、転倒骨折事故が多発、一度コースが閉鎖されたが、現在では登りのみオーケーで、下りは禁止されている。乾いているように見える岩も注意深く足を置いたつもりでも、時々つるっと滑る。登りなので転倒するまでは至らないが、その都度ひやっとさせられる。

 30分歩いて5分~10分休憩を繰り返し、11時30分至仏山頂上に立つ。狭い頂上は登山者で一杯だった。30分休んで腹こしらえし、12時下山開始。我らがパーティは下りも時間がかかり、鳩待峠到着は15時半であった。至仏登山の疲れを癒すべく、タクシーで老神温泉にむかう。

 老神温泉は、片品川沿いに十数軒の旅館・ホテルを有する古くからの温泉街。代表的な泉質は単純硫化水素泉。皮膚病、創傷、神経痛、リユウマチなどに効能がある。昔、赤城山の神(ヘビ)と男体山の神(ムカデ)が争ったとき、ムカデの矢に傷付いたヘビが、足元にその矢を刺すとお湯が沸き出した。お湯はたちまち傷が癒やし、男体山の神を追い払うことができた。その地は「追い神」となり、「老神」になった。

                                                          2015.8.15 記

 




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