岩 崎 元 郎 の


 
   
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奥久慈・男体山と袋田温泉
 
 
水戸と郡山を結ぶ水郡線は、趣ある鉄路だと思う。水戸を出発してしばらくすると、鉄路は久慈川に沿って走るようになる。街を抜け、山間を走る。そのあたりの、車窓の雰囲気がいい。久慈川の左岸に位置するのが、奥久慈・男体山。男体山と言うと、だれもが日光の男体山を思い浮かべるので、奥久慈と冠をかぶせて特定する。標高653.8m、2486mもある日光・男体山には高さでは勝負にならないが、山の面白さでは奥久慈・男体山の方に軍配が上がると言う山好きは多い。ぼくもその一人だ。

 奥久慈・男体山を発見したのは、新ハイキング誌だったかと思うが、「男体山」よりは「奥久慈」に惹かれて山行を実現させた。ガイドブックの案内に従って、水郡線西金駅で下車、大円地へと長い車道を歩き、大円地越えから山頂に立った。頂上からは上小川に下り、水郡線で水戸に戻った。この山のどこが気に入ったのか、このエリアにしばらく通うことになる。2回目は、南面する岩場の弱点を縫うようにして登る「健脚コース」を登った。健脚コースというのは、急登が連続するとか、距離が長いコースに与えられる称号だと思って居たが、奥久慈・男体山の健脚コースは、岩場コースであった。手かがりや足かがりにできる木の根や岩角が豊富にあり、ワイヤーロープなど設置されているので冷や汗をかくほどの緊張感はなく、適度な緊張を楽しめるハナマルコースではあった。帰路は大円地越えから西金に下った。

 3回目は、奥久慈・男体山から月居山を経て袋田の滝まで縦走した。帰り道、袋田温泉で汗をながした。生瀬富士にも登ってみたし、矢祭山や檜山にも足を伸ばしてみた。生瀬富士はけっこうやばくて、張られているロープにスリングのカラビナをかけ、フェラータよろしく下ってきたりした。完全結氷した袋田の滝もみることができたし、奥久慈・男体山から月居山の尾根道では、おしゃべりするカラスと出会ったことが忘れられない。

 それだけ通った奥久慈だったのに、ふっと足が遠のいたと思ったら、この十数年、水郡線に乗っていない。それでもこの周辺には、気になる山が残っている。ちよっと気合いを入れて、登ってみたいと思っている山、奥久慈の岩稜、湯沢源流、篭岩がそれだ。ガイドブックに「断崖の尾根道と、その断崖をトラバースする変化いっぱいのコース」という惹句のある奥久慈の岩稜、湯沢源流の惹句は「静寂な沢の巨岩を縫って登る、変化とスリルのコース」、篭岩には「クサリ場を越えての急坂直登、異様な風化の断崖は冒険心満足のコース」とある。

 奥久慈・男体山周辺には、袋田温泉、大子温泉、月居温泉、湯沢温泉と、いくつもの温泉があり、奥久慈温泉郷と呼ばれている。袋田温泉は、平安時代から知られていたという古い温泉で、日本三名瀑の一つ袋田の滝と相まって人気の観光地になっている。泉質は塩化物泉あるいは単純泉で、美肌、筋肉痛、神経痛、関節痛、五十肩などに効能があるとされている。若い頃は、奥久慈・男体山から袋田の滝への縦走も、当然のように日帰り登山でできていたが、古希を越えると日帰りはきつい。前夜温泉で英気を養って翌日縦走するか、縦走のピリオドを温泉で打つか、楽しい悩みである。

                                                         2015.11.15 記

 




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