岩 崎 元 郎 の


 
   
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高千穂峰と硫黄谷温泉

 鹿児島と宮崎の県境に位置する霧島山は、韓国岳、獅子戸岳、新燃岳、中岳、高千穂峰と連なる連山の総称である。日本百名山にも選ばれていて、山好きならだれもが知っている名山だ。一番高いのが標高1,700mの韓国岳で、連山の主峰とみなされている。どうでもいいことだが、日本百名山の「霧島山」は、韓国岳に立つことで登ったこととされている。しかし、連山を目にするとき、誰の目にも存在感をもって飛び込んでくるのは高千穂峰である。分県登山ガイド『鹿児島県の山』(山と渓谷社刊)の中で高千穂峰は、「霧島連山盟主の風格を備えた秀麗な山容」と紹介されている。

 実際、『日本百名山』の「霧島山」の項は、「紀元節を復活するかどうかー中略ー『雲にそびゆる高千穂の・・・』の歌は忘れがたい」と書き出されている。続けて、「その雲にそびゆる高千穂の高嶺は、霧島山の代表である」として、高千穂峰のことが語られている。韓国岳について説明する文章はなく、山名として1回登場するだけである。この項を読む限り、霧島山として登るべきは高千穂峰でなければおかしい、と思うのだが・・・。

 霧島山が火山であることの証明なのだろう、周辺には温泉が多い。深田久弥さんは新湯という鄙びた温泉で一夜をあかして、翌朝高千穂峰にむかわれた。ぼくのお気に入りは硫黄谷温泉、霧島ホテル。坂本龍馬がおりょうさんとこの地に新婚旅行で訪れたことはよく知られている。硫黄谷温泉にも立ち寄ったということで、霧島ホテルの展示室には龍馬がお姉さんの乙女に送った、おりょうさんと二人で高千穂峰に登った様子を綴った手紙(レプリカ)が飾られていた。手紙には、馬の背が細い岩尾根で緊張したこと、山頂の天の逆鉾をゆり動かしたことなどが書かれていて、読んでいると龍馬と一緒に高千穂峰に登っているような気分になる。

 硫黄谷温泉の魅力は湯量の豊富なこと。庭園大浴場がそれを証明している。泉質は硫黄泉、みょうばん泉、・・・源泉により異なっている。神経痛、筋肉痛、関節痛、冷え性、疲労回復、健康増進の効果がある。

 温泉にゆったり浸かり鋭気を養ったら、翌朝は高千穂河原まで車で上がる。高千穂峰には登り方がいくつかあるが、登り易いのは高千穂河原からの往復登山である。古宮跡までは広い参道を辿り、自然遊歩道の石畳を進むと本格的な登りが始まる。ザレ場の中に岩っぽい部分を拾いながら1時間ほど登るとお鉢の火口壁の上に出る。花期にはミヤマキリシマのピンクに彩られるところだ。馬の背のやせ尾根を辿り、お鉢の東端から鞍部へ下る。その先、登山道は階段状に整備されているが、急登で辛い登りが続く。約30分の頑張りで山頂を足下にできる。北東方向を望むと連山最高峰の韓国岳は、牛が寝そべっているような山容を見せている。

 往路を高千穂河原へと下るが、足下が不安定なので慎重に足を運びたい。「行きはよいよい、帰りは怖い」とはよく言ったもので、登りはなんとか登っても、下りは非常に緊張する。天の逆鉾の立つ山頂から鞍部までが第一関門、お鉢の下りが第二関門。このガラ場を下りきり、遊歩道の石畳に足が乗っかればもう安心、駐車場は近い。
 
                                                        2017.9.15 記





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