岩 崎 元 郎 の


 
   
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高根山~寝姿山と伊豆の温泉

 寝姿山は伊豆半島の南端、下田市内の東側に位置する200.1mの山である。伊豆急下田駅の改札口を出たら、東正面を眺めれば寝姿山に上がるロープウェイの乗り場が目に入る。駅から歩いて数分の距離だ。ロープウェイは標高150mまで運び上げてくれるから、山頂まではひと頑張り、高度50m登ればいいだけ。登山者のための山ではなく、観光客のための山と言っても過言ではない。

 好きな山の先輩の一人、横山厚夫さん。氏の登山記の中に、「行きがけの駄賃の山」とか「帰りがけの駄賃の山」という言葉が登場する。A山に登る計画を立てる。日帰りではきついから前日登山口付近で一泊する。前泊してA山に登るだけではもったいないので、その日、近くにあるB山を登っておく。これが行きがけの駄賃の山。

 反対に、めざすA山をその日のうちに登ってしまったが、日帰りはきついので麓で一泊して翌日帰る。ただ帰るだけではもったいないので、近くにあるC山を登る。これが帰りがけの駄賃の山、と、横山さんは説明されていた。ユーモアあふれる横山さんの人柄が伝わってくる素敵な言葉だと思う。この言葉を知って以来、ときどき真似させて貰っている。

 5月下旬、下田温泉に泊まって長九郎山に登ろうと計画したとき、行きがけの駄賃の山として浮上したのが寝姿山だった。分県登山ガイド『静岡県の山』に「寝姿山・高根山」のページがあった。同ガイドは寝姿山から高根山にむかい、蓮台寺に下山するように案内されていた。蓮台寺に下山すると再び伊豆急で下田に戻らないといけないので、行きがけに蓮台寺で下車、高根山から寝姿山へと辿り、ロープウェイで下田に下山する計画とした。

 東京駅から一度乗ってみたいと思っていた、特急踊り子に乗車。特急は蓮台寺に停車しないので、河津で後続の普通列車に乗り換える。蓮台寺駅の改札口を抜けたら右へ、河津方面に線路と並行する狭い車道を進む。道標に従って右折。少し進むと沢沿いの山道になる。往年の生活道だったのか丁目石があり、お地蔵様も路傍にある。赤いエプロンがきれいなところをみると、地元の人がしっかり管理しているらしい。しかし路面は草が生えたりしていて、さほど歩かれていないようだ。やがて道は沢を離れ、左手の尾根の上に出る。尾根道を登り切れば向陽院が現れる。海の安全と大漁を祈願したお地蔵様が詰め込むように奉納されている。その上が高根山頂上、343.3mだ。駅からゆっくり歩きで1時間15分。ジャンプすれば白浜の海に飛び込めそうだ。

 山頂からは防火帯の急な下りになる。フィックスされている太いロープに助けられて、なんとか下る。下り切ると樹林の中のトラバース道、約1時間で旧下田街道出会い。車道に出たら、寝姿山へのコースを見失う。車道を登って寝姿山に立つ。遊歩道を下ればロープウェイの乗り場。下田の街は目の下、あっという間の3分であった。

 伊豆半島は付け根にある熱海温泉にはじまって、伊東温泉、伊豆高原温泉、修善寺温泉、湯ヶ島温泉、河津温泉、先端の下田温泉、枚挙にいとまがない。どこの山に登っても下れば温泉がまっている。伊豆半島は「山と温泉の聖地」と呼んでよさそうだ。


                                                      2018.6.15 記



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