岩 崎 元 郎 の


 
   
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朝日岳と蓮華温泉

 北ア・朝日岳は標高2418.3m、白馬岳北方稜線上、新潟・富山の県境上に位置している。直接的な登路は2コース。富山県側は、北又からイブリ尾根を登り8時間で朝日小屋、山頂までは小屋から1時間である。北又まではJR北陸本線泊駅からタクシーで入る。新潟県側は、蓮華温泉から五輪尾根を登って山頂まで8時間。JR大糸線平岩駅から蓮華温泉まで、7月中旬から10月上旬の間、バスが運行される。

 朝日岳山頂から南にむかえば、雪倉岳を越え白馬岳まで8時間半。北にむかえば長栂山、黒岩山、犬ヶ岳を越えて栂海山荘まで7時間、山荘から白鳥山を越えて日本海・親不知まで9時間。親不知から長栂山・吹上のコルまで、1966年から1971年までの6年間を費やし登山道を開拓したのが、小野健さんを代表とする「さわがに山岳会」のメンバー。コースには栂海新道と名前がつけられた。

 小野さんは、そのときのご苦労を『山賊野郎の青春』と題した一冊にまとめられた。本屋の店先でたまたま手にしたその一冊に魅了されて、ぼくは日本海から栂海新道を登って朝日岳に立つことを思い立った。小野さんに手紙を書いてアドバイスを頂き、当時大学山岳部現役だったR君を誘って上野駅から夜行列車に乗り、泊駅にむかった。

 親不知の浜辺で日本海の水を小さなポリ容器に汲み、ザックの片隅に押し込んで、海抜ゼロmから一歩を踏み出した。栂海新道を犬ヶ岳から朝日岳に登り、白馬岳から鹿島槍ヶ岳、針ノ木峠、槍ヶ岳、奥穂高岳、西穂高岳、焼岳、乗鞍岳、木曽御嶽山と北アルプスを縦走したら木曽谷に下り、中津川に移動して恵那山に登り返し、摺古木山から空木岳、木曽駒ヶ岳、権兵衛峠へと中央アルプスを北上、経ヶ岳に立ってから伊那谷に下山、高遠に移動して守屋山に登り返す。

 ぼくが勝手に南アルプスの最北端と規定している守屋山に立ったら、杖突峠から入笠山、鋸岳、甲斐駒ヶ岳、仙丈岳、塩見岳、赤石岳、聖岳、光岳、黒法師山、大札山、八高山と南アルプスの主稜線を忠実に辿って、いつの日か御前崎まで行って、親不知で汲んだ日本海の水を太平洋に注ぐ、という日本アルプスS字状横断縦走計画の第一歩を踏み出したのだ。

 1日目は、急登の連続にギブアップ、犬ヶ岳まで届かず菊石山でビバーク、翌日は長栂山の北斜面でビバーク、3日目に待望の朝日岳に立った。ほとんどのガイドブックは下りコースで紹介しているが、親不知から登ってこその栂海新道であろう。

 蓮華温泉は、白馬岳や朝日岳の登山拠点となる一軒宿。単純酸性泉の内湯が一つ。露天風呂は4箇所あって、代表する露天風呂が単純酸性泉の「仙気の湯」、他に重炭酸土類泉の「黄金の湯」、単純酸性泉の「三国一の湯」、酸性石膏泉の「薬師の湯」がある。1617年、上杉謙信が雪倉岳東山腹に雪倉銀山を開発、明治末まで採掘されていた。この間に発見されたのが、蓮華温泉。1894年にはウェストンもここに泊り、白馬岳に登っている。わがパーティーもここに泊り、五輪尾根を登って朝日岳に立ったことがある。ウィークデーで他に泊まり客がなく、まだ明るいうちに露天風呂に入れた女性陣が、大喜びしていた。


                                                     2018.8.15 記



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